遊食膳 〇勝(まるまさ)

「うなぎの石焼ビビンバ」を生んだ、柳川きっての創作料理店

福岡でうなぎ料理と言えば、うなぎとご飯を蒸しあげた柳川の郷土料理「せいろ蒸し」。柳川では、名物であるうなぎを供する店が軒を連ね、国内はもとより海外からも多くの観光客が足を運んでいます。
その中でも、“新感覚のうなぎ料理を出す店”として人気を集めているのが、市内きっての創作料理店「遊食膳 〇勝」(ゆうしょくぜん まるまさ)です。

同店でいちばん人気のメニューは、うなぎを石焼ビビンバに仕立てたオリジナルの「柳川ビビンバ」。アツアツの石焼鍋でいただく斬新なうなぎ料理は評判を呼び、今では“柳川の新名物”として、たびたびテレビでも紹介されています。

「うなぎのビビンバは、柳川を感じられる新たなメニューを作りたいと思い、17年前に考案しました。今日は、このビビンバを目当てに山口県からご来店のお客さまもいらっしゃいました」

こう語る店主の堤勝さんは、福岡や名古屋で料理の腕を磨き、約20年前に地元である柳川に「〇勝」をオープン。同店では「天麩羅」「刺身」「牛鉄」などの種類豊富な会席料理がいただけるほか、人気の「柳川ビビンバ」をはじめ「鰻のステーキ」や「鰻のさつまあげ」、「クラゲシューマイ」など、振り幅の広い創作料理と、古くから伝わる柳川の郷土料理も味わえます。

一膳で二度おいしい柳川ビビンバ

今回、人気メニューである「特製柳川ビビンバ」をいただことに。ほどなくして、ジュ~ッという音を立てて石鍋が運ばれてきました。鍋の中を覗くと、タレがよく絡んだささがきごぼう入りのご飯に、肉厚のうなぎの蒲焼と生卵がのっています。立ちのぼる湯気とともに、うなぎの良い香りが漂います。

スプーンを手に取り、熱いうちに手早く食材をかき混ぜて口の中へ。すると、ふっくらとしたうなぎの旨味、甘辛いタレと生卵が絡んだコク深い味が混然一体となって広がります。これは、新感覚の美味しさです。そして、石焼ビビンバの醍醐味である“おこげ”。石焼の効果で香ばしさを増したタレ付きのおこげは「カリッ」とした食感で、これがさらに食欲を増進させてくれます。

ビビンバを半分ほどいただいたところで、ポットと薬味がセットになった「出汁茶漬けセット」が運ばれてきました。何でもこの柳川ビビンバは、まずビビンバとしていただいた後、お出汁を注いで「ひつまぶし風」として、一膳で二度楽しめるメニューだそうです。

さっそく、たっぷりの大葉とワサビ、あられをビビンバの上に乗せ、ポットに入ったお出汁を注ぎ入れます。すると、時間の経過とともに少し味が濃くなってきたご飯に、やや薄めのお出汁と薬味が混ざり合ったことで、さらっといただける味に大変身。また、うなぎの蒲焼の風味はしっかりと残っているため、満足感のあるシメの一杯となっています。

輝き、旨味、価格、満足のお米

このような発想豊かな料理がいただける「遊食膳 〇勝」には、もりなが農園のお米が使われています。10年ほど前、地元のお店での出会いがきっかけだったそうです。

「農法や水質にまでこだわった米づくりの話を聞いて興味を持ち、いちど持ってきて下さいとお願いしたんです。届いたお米をさっそく炊いてみると驚きました。まず、炊きあがりの輝きがぜんぜん違う。そして、しっかりとした旨味ですね。実は、嫁さんの実家が地元柳川でお米をつくっていることもあり、これまで良いお米は食べていたつもりでしたが、こんなに美味しいお米が柳川にあったのかと思いました」

来店客からも「お米が美味しい」との声が寄せられるそうで、ご飯のおかわりをするお客も多いとか。現在、同店では毎月3、4回(量にして約90~120kg)ほどのお米を注文しているといいます。

「もりなが農園さんのお米は価格帯も良いので、とても満足しています。ときどき、お米以外にもトウモロコシなどの農産物を持ってきていただくのですが、どれも美味しいですよ。本当に腕の良い農家さんだなと感じています」

今では、柳川きっての創作料理店として、地元客をはじめ観光客からも支持を集める「遊食膳 〇勝」。工程を丁寧に踏んで供される料理の数々は、柳川のエッセンスがギュッと詰まっているようです。新名物「柳川ビビンバ」など、ここでしか食べられないうなぎ料理は、一食の価値があります。柳川へお越しの際は、ぜひお立ち寄り下さい。

遊食膳 〇勝(ゆうしょくぜん まるまさ)

〒832-0063
福岡県柳川市茂庵町14-1

TEL/0944-73-6884
営業時間/11:00~14:00 17:00~22:00 日曜営業
定休日/月曜日
駐車場/有