もりなが農園のお米は、土づくりをはじめ、種蒔きから収穫、乾燥などの調整、管理、包装・販売まで、ほぼすべての工程を自社で行っています。
精米作業に関しては、自社近くに腕利きの職人さんがいらっしゃる関係で、精米作業のみお願いしています。精米もお米を磨いた直後から徐々に味が落ちていきますので、もりなが農園では注文を受けてから、配達前に精米作業を行うよう心がけています。こういった理由から、お米の味や品質や安全性にご好評をいただいています。
さて、もりなが農園ではまもなく稲刈りの時期を迎えますが、せっかくですので、ふだんあまりお話しすることのない稲刈りのタイミングについてお伝えしようと思います。
毎年、秋の稲刈り時期になると、日本各地で農業指導にあたる、県や市町村機関、また農協などでは「適期刈り」を呼びかけています。これは「お米が最も美味しくなっているタイミングで稲刈りをして下さい」ということです。
実はこの稲刈りのタイミングによって、お米の味と収量に大きな差が出ます。
ざっくり説明すると、稲刈りが早い場合は食味に優れた良いお米が穫れます。
これは、籾全体に含まれる「未熟粒」(青米とも言います)の割合が増えるからです。未熟粒とは読んで字のごとく、まだ完全なお米になっていない緑色の粒を言います。未熟粒を割ると中が白色と半透明のものがあります。
この未熟粒ですが、中身が白色のものが多くなると収穫量が少なくなってしまいます。その理由は、白色の未熟粒は収穫後に玄米を選別機でふるいにかけた際、「くず米」として選別されてしまうためです。しかし、選別に残った玄米はとても食味に優れ、高品質なお米になります。
さて、逆に稲刈りが遅い場合は、お米の品質が下がる傾向にあります。
よく色づいたお米は未熟粒の割合が少なく、登熟期間(とうじゅくきかん/穀物の種子が次第に発育・肥大すること)が長くなるため、粒が大きくなります。お米一粒ひとつぶの重量も増えてくず米の割合も少ないため、非常に収穫量が多くなります。
一見すると農家にとって良いことだらけのように感じる「遅刈り」ですが、実はデメリットも大きいです。まず、登熟しすぎた粒は胴割れを起こし品質を低下させます。この胴割れですが、お米の中心あたりに横方向のヒビが入る状態で、そのうち上下に割れていきます。加えて米粒にツヤもなくなり、「等級落ち」の原因になります。つまり、遅刈りのお米は著しく品質が低下し、当然、食味なども期待できません。
しかし、米農家さまの中にはあえて食味を無視し、少し遅めに稲刈りを行っているところが多いような気もします。それは、少しでも収穫量を多くしたいからだと思います。
このような農家の方々は、おそらく収穫したお米を農協や業者だけに出荷されているのだと思います。出荷の際、お米の価格を決めるのは見た目の品質です。その場で出荷者が持ってきたお米を炊き、食味を確認してから買い付けを行うわけではありません。
ですので、胴割れなどがおこる直前まで、一定の収穫量を確保したいと考えるのは、自然なことだと思います。
もりなが農園の場合は、飲食店さまなどを中心に直接販売を行っていますので、食味が良いというのは絶対条件です。ですので、稲刈りのタイミングも若干早めといったところです。
食味や品質管理に力を入れている甲斐もあってか、今年も飲食店さまからたいへんご好評をいただき、昨シーズンのお米は売り切れになりました。一部のお客さまにはたいへんご迷惑をおかけしている状況ですが、もう間もなく新米が穫れますので、もう少々お待ちくださいませ。
もりなが農園では、培ってきた伝統と様々な最新技術を用い、手間を惜しまずに美味しいお米を仕上げたい一心で米作りに向き合っています。そして、毎日いただくお米だからこそ、美味しく安全なものをお届けしたいと思っています。
まもなく新米の時期。丁寧に育てたもりなが農園のお米を、ぜひご賞味いただきたいと願っています。